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「返事、聞いてもいい?」
やっぱり気まずそうに・・・いや、もしかしたらこれは恥ずかしそうに・・・?少し顔を赤らめて幸也が私に聞いた。
「・・・あの、私、本当に今まで高橋君のことはそういう目で見てこなくて・・・。これから、徐々に・・・今までみたいにみんなで会いながら考えるんじゃダメ?」
幸也は小さく息を吐いて「そうだよな」と呟くように言った。
「だけど、時々また聞くよ。そろそろ付き合えるかどうか」
「わ・・・分かった。ちゃんと考えるから」
そう答えると、異様に恥ずかしくなった。琴音に彼氏が出来ることは考えても、自分にできるとは考えたことは無かったから。
「あいつ・・・田村にも彼氏が出来れば、ゆきちゃんももっと前向きに考えるのかな」
「田村?」
「田村琴音、あいつの苗字だろ?」
「そうだけど・・・」
幸也はみんなが琴音を名前で呼ぶ中、琴音のことを苗字で呼んで、私は名前で呼んでいたのか。改めてそういうことが分かるとくすぐったかった。
琴音も認めてくれた男子だし、前向きに考えようと思えた。
それでも、今は涙を流して私の幸せを後押ししようとしてくれた琴音に早く会いたかった。
了
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