隠れた想い

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 帰り道、他の男子と別れても、幸也は名残惜しいのかまるで付いて来ているように、私たちの最寄り駅まで一緒に来た。 「あのさ、高橋の家ってこっちじゃないよね?」  突き放すように琴音はそう言ったけど、幸也はやっぱり名残惜しそうに帰ろうとしないで「ちゃんと話したいんだけど」と言っていた。  ああ、私に2人の関係を話して理解して欲しいのだろう。琴音は私に遠慮して、それが出来ないから・・・。 「・・・高橋君、私に何か話がある?」  思い切って私から声を掛けると、間髪入れずに琴音が「何もない!」と言った。 「じゃあ、私が話してもいい?」 「えっ?なに・・・?」  予想外だったのかきょとんとした琴音と、同じように目を丸くしている幸也が顔を見合わせた。 「あのね、高橋君。昨日も言ったけど、私は琴音が大好きなんだ。高橋君の言う通り、きっかけは環境だったと思う。幼馴染みで今でも家族ぐるみで仲いいし。ほぼ姉妹って感じだよね」  本当の姉妹なら良かったのかも。きっと彼氏に嫉妬なんてしないで、新しい兄弟のように思えるのだろう。だけど、親友は彼氏に取られてしまうような気持ちにもなる・・・。 「だけどね、それだけじゃないんだ。本当の姉妹だって気が合わなければ仲が悪いだろうし。でも、琴音とはただ気が合うってだけじゃなくて・・・。ほら、私って大人しいじゃない?」  私がチラリと幸也を見ると目が合って、いつもの気まずそうな表情で幸也が頷いた。 「小さい頃はもっと大人しくて・・・決まった人としか話せないし、いつもみんなは通訳みたいに琴音に私の意思を聞いていたの。だけど、琴音はそういうのを嫌な顔もしないし、そんな私をダメだと言ったこともないし、琴音だけはいつも私を理解しているから普通に接してくるんだよね」  それは小さい頃から一緒に居たから当たり前なのかもしれないとは思う。  高2の今では、もうそこまで琴音に頼らなくても自分で友達とコミュニケーションも取れるようになったし、クラスに仲がいい子もいる。だけど・・・。 「誰にも理解されなくても、琴音はそのまんまの私を受け入れてくれた唯一の友達だったの。それにね、今でもやっぱり琴音は特別なんだ」
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