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「あのね、ゆき。さっきのあんたの言葉は、そのまんま私の気持ちなんだ。私はこんな性格だからさ、友達もすぐに出来るけど、ストレートにものを言ったり、男子にモテたりしちゃうと女子には反感も買うし、友達だと思っていた子が私の陰口を言っていた、なんてことも結構あるんだよね」
ハンカチで涙を押えながら、琴音はそれでも微笑んだ。
そんなことがあったなんて、私は知らなかった。琴音はいつも笑顔で堂々としていて、綺麗で私の自慢の親友だった。時々私の前で泣いていたけど、理由を話したことは一度もなかった。
「だけど、ゆきはいつもどんな私でも受け入れて傍にいてくれた。男子たちが付いて来て振り回しちゃうこともあるのに・・・ゆきは嫌な顔一つしないで、私と一緒にいてくれるから・・・」
それから、琴音は満面の笑みを見せて私の頭にポンッと手を乗せた。
「だけど、ゆきは言ったじゃない。優先しなくても、私たちは親友だって。だから、私より優先する彼氏を作って幸せになって、ゆき」
そう言うと、私の目の前に幸也を立たせた。
「じゃあ、家で待っているから。私はいつだってあんたの親友だからね!」
琴音は思いっきり幸也の背中を叩いてから、走り去って行った。
「いってぇ、思い切り叩きやがった・・・」
顔をしかめた幸也を見ながら、私はこの人をずっと苦手だと思っていたことを思い出した。それは、幸也が他の男子のように接して来なかったからだ。
つまり、琴音を好きだから私に気を遣って・・・だけど私の反応は気にしなかった男子たちとは違って、自分が話しかけたいから私に話しかけて、私の反応がいまいちだと気になって困ってしまっていたのだ・・・。それに気が付くと、私ってかなり鈍感だったんだな、と苦笑いした。
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