横浜港の廃倉庫 午後四時

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 薄暗い倉庫の中を警戒しながら歌野と有星は進む。  時々、二人の足跡に合わせて、ホコリが舞り、黒いスーツに反射して映る。  あたりには打ち捨てられた産業用機械や工具が無造作に置かれている。  バキューーーン!  突然響く銃声、そして薬莢の落ちる音。 「にゃろーー、ハジキ持ってんのかよ!」  歌野と有星もすぐに拳銃を構えた。  薄暗くて、犯人グループが何人なのか全く見当がつかない。  間抜けな一人が姿を現した。  有星がすかさず愛銃の引き金を弾き、男の眉間を撃ち抜く。 「ひゅー、やるじゃん」  ため息をついておどける歌野。  二人の射撃の腕は横浜管内で一、二位を争う。  二人とも自分が一番であると互いに譲らないが。
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