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やがて四方から銃声が響くようになり、着弾の音が徐々に近づいてきた。
しまった! 追い詰めたつもりが逆に囲まれてしまったか……
二人は互いの死角をかばい合い、銃を構えながら、背中を寄せる。
普段はいがみ合っているが、こういう時の息はピッタリだ。
有星の死角に入った男を、すかさず愛用のリボルバーで歌野が撃ち抜く。
「油断しすぎだよ、ワンコちゃん!」
「ちょっとは黙ってろ!」
メガネの奥を光らせながら、二階にいた敵を狙う有星。
男が胸元を押さえながら、真っ逆さまに落ちてくる。
「敵が多すぎるぜ」
徐々に息が荒くなる有星。
「はあ、はあ……オレはmina様のライブにもう一度行くまでは死なないって決めたのに」
歌野の額から汗が滲む
「お前らしい、下らない理由だな……」
「うるせえな……有星は、生きてる理由とかあんのかよ?」
「俺は……大切なものを守る……ただそれだけだ……」
「なんだよ、カッコつけやがって」
歌野が悪態をついたその時だった!
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