横浜港の廃倉庫 午後四時

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 その刹那……  鋭い銃声と共に、二人を囲んでいた犯人の一人が、どうっと倒れた。 「有星さん、歌野くん、助けに来たわよ!」  白いパンツスーツに美しい姿を躍らせながら、続けざまに銃を放つ、ハマのワイルドキャット! 「綾香さんっ!!」  その機を逃さず歌野と有星も最後の力を振り絞り、犯人グループの囲みを突破する。  パトカーのサイレンの音が徐々に近づいてきた。 「やった!やったぜ!」 「お手柄ね、有星さん、歌野くん」  綾香がそう言ってニヤリと笑った。 「綾香さん、来るの遅いっすよ。ほんとギリギリなんだから……」 「ごめん、でもナイスタイミングでしょ」  ペロリと舌を出しておどける、綾香。 「綾香……よく来てくれた……」  有星がヨロヨロとその場に倒れ込こんだ。  血色が悪い。撃たれた腕からは鮮血が滲み出して、自慢の紺色のスーツを真っ赤に染めている。
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