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「俺の足を引っ張るなよ、歌野」
冷静な表情の有星。
「ちっ、わかってるよ……」
「しっかりやれよ……お前らが組むのは署長命令なんだから」
少し苦しそうな表情を浮かべながら、胃薬を口に含む黒田課長。
「綾香さん、うちの署長、実は幼女って噂、本当ですか?」
歌野が隣の綾香にそっとささやいた。
「さすがにそれは無いと思うけど……もぐらってアダ名ついてるくらい、めったに姿見せないもんね。そして凄いキレ者っていう噂」
「おい、現場行くぞ! 歌野!」
有星は椅子に掛けてあったスーツの上着に手を掛けた。
刹那……スローモーションのように、スーツの裏地がふわっと広がる。
有星は上着に袖を通して、紺地の上質な三つ揃いのベストの上に、ゆっくりと羽織った。
まるで孔雀が舞うように、それは優雅な光景であった。
三つ揃いスーツは、男のこだわり。
さあ、即興刑事劇 『横濱スリーピース』はじまるよ!
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