交通課のアイドル

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 港湾署内。警官や一般人、たまに逮捕者。  様々な人を掻き分けて、歌野と有星は進む。 「おっ、由紀ちゃんと美希ちゃん!」  歌野が声を上げた。  長い髪を肩まで伸ばしたすらりとしたモデル体型の由紀と、ショートカットに小柄で童顔な美希。  二人とも交通課のアイドルで署内の男性陣の人気も高い。  交通違反の取締りの帰りだろうか。楽しそうにお喋りをしながら、廊下をゆっくりと歩いてくる。 「ねえねえ、こないだの交通課の婦警との飲み会の話、どうなった?」  歌野は仕事そっちのけで二人に話し掛けた。 「えっ……歌野さんとですか……有星さんも一緒なら考えますけど」  浮世絵の美人画のような切れ長の瞳を曇らせ、少し顔をしかめる、由紀。 「こんなヤツのどこがいいのよ?」 「えっ、だって、知的で、クールで、素敵じゃないですか……」  有星本人を前にして、由紀は顔を赤らめた。 「知性溢れるハマの銀狼! カッコいい!!」  頬を両手に当て、美希もそれに続く。  人呼んで『ハマの銀狼』、それが有星の通り名だ。
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