覆面パトカー

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 黒を基調とした上質なインテリアの車内。無線等の警察機器があちこちに備え付けられている。  企業の倉庫や、コンテナ。工場地帯。  そして大黒埠頭。青空に映える白塗りのベイブリッジ。  車窓の外に見える海岸沿いの景色がハイスピードで通りすぎていく。    車内には刑事ドラマに似つかわしくない、中高生に人気の女性歌手のポップな歌声が流れていた。 「お前、いい加減、覆面パトカーでmina聴くのやめろよ」  有星は不機嫌そうに、少し顔をしかめた。 「mina様は最高だ! お前にはその素晴らしさがわからんのか?」   「まったく、嗜好と知能が高校生レベルなんだよ、お前は」 「オレの愛する歌姫、mina様を愚弄すんじゃねえ!!」  目線は前方。右手でハンドルを握ったまま左手で拳銃を突き付ける歌野。 「よせ、また始末書が増えるぞ」  顔色一つ変えず、冷静に流す、有星。  サイレンを鳴らしながら、白塗りのクラウンは日差しの照りつける湾岸道路を駆け抜けていく。
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