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アヴァーロン王国は、豊かな穀倉地帯を抱え、森の恵みと近海貿易で栄える大国である。その為、国土を奪い合う戦や隣国との小競り合いが古くから続き、実力主義の思想が貴族から平民にまで定着していた。
そして、教会暦1037年 カラーレル侯爵家の嫡男である俺ーアルヴィス・カラーレルも12歳となり教会で【選定の儀式】を受ける事となった。
この日は、俺以外にも4人の若者達が【選定の儀式】を受ける予定になっている事を事前に聞いていた。4人の若者達は、3人は平民、1人貴族階級の中で最も低い男爵家の少女らしい。
教会の入り口で両親と別れた俺は、白い扉の部屋に案内された。そこにいた例の4人とは、特に会話する事もなく【選定の儀式】を待つ。
4人は緊張の為か、それとも隠し切れない期待の為か、先程から落ち着きがない。
まぁ、それも当然と言えば当然だ。今日行われる【選定の儀式】は、今後の人生の優劣を決める重要な儀式なのだから。
「……ふぁ」
4人から離れた位置に座っているとは言え、気付かれないように欠伸をする。
暇だ。昨日は夜遅くまで、父の社交界に出席していた所為で寝不足だし、仮眠でも取るか。
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