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しかし、儀式の準備とは事前にしておく物でそう長くはかからなかった。
白い両開きのドアが開けられ、金糸で刺繍された白いローブを纏った神官達が入って来るなり着いて来るように言われた。
これまでの対応から分かるとは思うが、教会側は相手が貴族だろうが特別扱いする事は滅多にない。それは、教会が王国の一部ではないからだ。それに、【選定の儀式】を執り行う教会は、王国でも強い影響力を持っている。その為、上位貴族達でも無闇矢鱈に教会に手を出す事は出来ない。
もし、悪評をかって自分の子が【選定の儀式】を受けさせて貰えなくなれば、元も子もないからだ。
しかし、それ程の強い影響力を持ちながら、これまでに教会が国政に関与して来た事は一度もないと聞く。
「着きました。こちらです」
神官服を纏った女性の声に思考を切り替える。
案内されたのは、教会の中央に作られた【儀式の間】だ。中央には大きな魔法陣、その先には時を刻む砂時計が設置されている。
周りには、親族以外の野次馬達もいる。軽く見回した所、若い少年少女達が多いようだ。おそらく、最近【選定の儀式】を終えた者や近々受ける予定の者達だろう。
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