プロローグ

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 地上の峰峰には、一座一神が宿っている。大きな山、小さな山、例外なくみな一つずつ神が宿っている。  山の神は、ほとんどが女神だ。だから、男は山に惚れ、山に登る。  遙かなる地上大地の掌上に、ひとつの小さな山があった。この小峰には御高際岩山神(みたかきわのいわやまがみ)が宿っていた。御高際岩山神は、碧き大空を見上げて、彼方の深みにコスモスの清澄を見透かして、大いなる唯一神、御天地身一神(みあまつちまいちのかみ)に恋焦がれた。その無際の広漠と不動の雄壮、無垢の澄瑩、無尽の慈愛。御高際岩山神は、その偉大すぎる素晴らしさに惚れ抜いた。惚れて恋焦がれ、想いは岩盤を押し上げ、峰を天上に向かって、遙か高く圧し盛り上げた。その頂は、地上無二の比類なき最上高の岩峰となった。霊峰暇羅山である。  その小さな想いを微笑ましく思いやり、暖かな一触れで、御天地身一神は愛を送った。  その大神の愛に満ちた指一本が、地球の小さな女神に触れる瞬間、無上峰の麓にある小国華平城の王と后に、二つの神の霊気が、風船を空気で膨らませるかのように、充填されていった。二つの神の霊気は、妃のヴァギナと王のマラ各々の先端まで入り込み、王と妃の営みによって、交流混合した。御高際山神の想いは報われたのである。  程なくして、華平城の王と妃の間に、一人の男児が生まれた。名を百迦と言った。
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