第1章

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「魔王が封印されているのは、火山の下の地下空洞。入り口はあの洞窟です」ななが、山の麓の洞窟を指し示します。 「中には魔族が待ち構えていますね。先陣は黒猫、ちひろ、凜伽・・・」 「あ、あたい、先行っくね~」  ジェネラルの言葉の途中で、小梅が先に駆け出してしまいました。 「ちょっとちょっと、小梅ちゃん・・・」  黒猫が、あわてて後を追います。  小梅は、洞窟の手前で背中のクレイモアをすらりと抜き放ちます。その瞬間、空気が一変しました。小梅の周りだけ、吹雪です。 「どけどけー!! 邪魔する奴あぶった切るぞー!」  小梅は、クレイモアと一緒に滅茶苦茶に回転して魔族をなぎ払いながら、洞窟の中を突き進んで行きます。 「オラオラオラオラー。ひゃーはっはっはっ・・・」  黒猫は唖然として隣の凜伽に問いかけます。 「凜伽さん・・・、ツンドラ最強の戦士? 字が違うんじゃ・・・? あれじゃ、ツンドラ最狂の戦士・・・」 「ほ、ほら。よくいるじゃないですか。ハンドル握ると性格が変わるって。あれですよ。たぶん・・・」  ちひろが、小梅の消えた洞窟の入り口を見つめたまま呟きます。 「凜伽ちゃん・・・、今でも、対戦したい?」 「ちょ、ちょっと、遠慮したいかも・・・」  メイフェア隊は、魔族を撃退しつつ、大空洞にたどり着きました。空洞の四方に四つの台座があり、その三つには、青、緑、透明なクリスタルが乗っていて、その回りを守るように魔族が取り囲んでいます。最後の台座のそばには、サタンが赤いクリスタルを持って立っています。 「ふっふっふっ、一足遅かったな、メイフェア隊。今、最後の鍵を開ける・・・。  封印解除!」  サタンは、台座の上に赤いクリスタルを突き立てるのでした。  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーー。  地響きと共に、中央の地面が裂け、黒い霧が立ち上ります。ジェネラルの顔が蒼ざめます。 「遅かった・・・」 「いいえ」  ななが、賢者の杖で地面を突きます。 「魔王はすぐには実体化しません。魔族をすべて排除し、再び魔王を封印します。向こう三百年、二度と復活しようなどと思わないくらい、懲らしめてやりましょう」 「「「おおーーーーーーー」」」  メイフェア隊は、四つの台座目指して散って行きます。 「バロン! 貴様だけは断じて許さん!!」  愛姫がサタンの前に飛び出し、灼熱の杖に呪文を唱えます。 「ふん、相も変わらず突っ込む事しか知らぬ愚か者め・・・」
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