第1章

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「水の精霊王、我に力を・・・」  アリスの体から透明な光が、愛姫の体から赤い光が、メイの体から緑の光が、きみぃの体から青い光が放たれ、それらは渦を巻いて魔王の体に巻き付きます。 「魔王の動きが止まった!」 『ちひろ・・・』  その時、どこかから声が聞こえました。 「父様! ご無事で・・・」 『ホーリーレイピアで、魔王の左目を突け』 「はい! マーブル!」  ヒヒーーーーーン。  ちひろは駆けて来たマーブルに飛び乗ります。 「うるは! 右目を突くぞ!」 『OK、黒猫ちゃん』  ミスリルうるはソードの柄から白い翼が飛び出します。  黒猫とちひろは同時に飛び上がり、魔王の頭上で剣を構えます。ミスリルうるはソードとホーリーレイピアが、聖なる光に輝きます。 「「暗黒の王よ、闇に還れ!!」」  黒猫とちひろは、同時に魔王の両目を突くのでした。 「ぬ、ぬおおおおおおおおおーーーーーーーーーー」  魔王の体はどろどろに崩れて、地面の裂け目に吸い込まれて行くのでした。そしてその裂け目も、何もなかったようにぴったりと塞がってしまいます。  黒猫とちひろとまおとももが、ゆっくりと地上に降りて来ます。 「終わった・・・。終わったのね。長い戦いの日々が・・・」  ななが言います。 「もう二度と、誰も魔王を復活させたりしないよう、アーティファクトは私たちで大切に保管しましょう」 「いいえ」アリスがゆっくりと首を振ります。「アーティファクトと同化して分かりました。精霊の魂は、こんな小さなクリスタルに閉じ込めておくべきではありません」  アリスは、風のアーティファクトを手に取り、高く掲げます。 「自然の吸う息、吐く息を司る風の精霊よ。すべてを解き放ち自然界へ帰れ」  風のアーティファクトが透明な光の粉になって、風に散って行きます。地底の洞窟に、さわやかなそよ風が吹き抜けます。 「この星の大気に溶け込んで、永久に私たちを見守っておくれ」  きみぃが、水のアーティファクトを高く掲げます。 「命の源、水の精霊よ。雨と降り、川と流れ、海に注ぎ、雲となってこの星を巡れ。私たちの命の循環を見守っておくれ」  水のアーティファクトが青い光の粉になって、洞窟を抜け、海に溶け込みます。  愛姫が、火のアーティファクトを高く掲げます。 「常に絶える事のない火の精霊よ。この星を暖め、暮らしを支え、心のともし火となれ」
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