第1章

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 左右宇が一歩前へ出て、両手を胸の前でクロスして肩を叩きます。 「スイッチ・オン。チェーンジ!」  シュルルルルルルルルルルルル。  左右宇は戦闘用オートマータに変身して、ネクロマンサーに突進するのでした。 「記憶を失っていても、やはりアーティファクトの守護者・・・」  ジェネラルの言葉に、ななが答えます。 「基本プログラムは、深層意識の奥底にインプットされてるんでしょうね」  南から、別の一群が来ます。率いているのは、サタンです。 「こんな所にのこのこ現れおって。飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ」 「バロン! しょうこりもなく。今までの借り、利子をつけて返してやる」  愛姫が魔法の射程距離まで前進して、目を閉じ詠唱を開始します。 「もらったぁ!」  サタンが、愛姫めがけて透明な光を放出します。愛姫はサタンに吸い寄せられ、空中でガラス球の中に閉じ込められてしまうのでした。愛姫を捕らえたサタンは、仮面を脱ぎ捨てます。 「あれは、ネクロマンサー!」ジェネラルが叫びます。「では、こっちは?!」  左右宇の向かったネクロマンサーの両手の平から剣状の突起が伸び、背中に蝙蝠の翼が広がります。サタンです。 「心を持たぬ機械人形の分際で、この俺に挑もうなどと」  サタンは、剣で左右宇に切りかかるのでした。 「愛姫と左右宇の救出に向かって!」  魔族の手下たちも空から、地上から、一斉にメイフェア隊に襲い掛かります。メイフェア隊は防戦に追われ、なかなか愛姫と左右宇の元へ行けないのでした。 『黒猫ちゃん』  黒猫は、魔族と戦いながら叫びます。 「なに? うるは」 『私たちが力を合わせれば、ネクロマンサーの結界も破れるはず』 「結界は空中よ。どうやって?」 『大丈夫。飛べるわ』  ミスリルうるはソードの鍔から、白い翼が飛び出します。黒猫は、ソードを握って空へ駆け上がるのでした。 「ちっち、結界を破る。フォローをお願い」  黒猫とまおは、一目散にガラス球を目指します。ガラス球の中では、ネクロマンサーが愛姫の胸に手をかざしています。 「ウオオオオオオーーーーー」  黒猫は、ミスリルうるはソードを最上段に振りかぶって、一気にガラス球に叩きつけるのでした。  パリーーーーーン。  ガラス球は、粉々に砕け散ります。 「ふん。アーティファクトはいただいた。こいつはもう用済みだ」
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