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ネクロマンサーは、テレポートの青白い光に包まれていきます。まおは、落下する愛姫を抱きとめ、地上へ降ろすのでした。
「ネクロマンサーめ、今度はうまくやったようだな。お遊びはここまでだ」
サタンは、両手の剣で左右宇の手足を切り落とし、テレポートしていきます。
「うこーーーーん!」
メイが、左右宇の元へ駆けつけます。少女の姿に戻った左右宇の周りに、バラバラになった手足が散乱しています。
「なんて、ひどい・・・」
メイは、悲しみと怒りのままに、呪文を唱えます。
「・・・アースクエイク!」
巨大な地震が、地上の魔族を一掃してしまいます。
愛姫の胸を診た、ゆうの顔が蒼ざめます。
「心臓が、消失している・・・」
「治るの?」と、まおが聞きます。
「代わりの心臓がないと、無理です」
メイが、左右宇の胴体を抱いて、しずしずと歩いて来ました。
後ろから、ななが手足を抱えてついて来ます。
「私の心臓を使って下さい」
「うこん? しゃべっちゃだめ。無理しないで」
「私の胸部には、人工心臓が納められています」
ななが、目を見開きます。
「左右宇ちゃん、記憶が戻ったの?」
「はい。ボディの損傷度が80%を超えたため、自己修復プログラムが発動しました」
メイが、うろたえます。
「心臓を取っちゃったら、うこん、あんたが死んじゃうじゃないの」
「私は、エーテルエネルギーで稼動しています。人工心臓は、いつか王家の女性からアーティファクトを分離した時のための物です」
「でも・・・」
ゆうが、毅然とした声で言います。
「今は、一刻を争います。愛姫さんが脳死に至る前に、心臓を移植しなければなりません。左右宇さんを、愛姫さんの隣に寝かせてください。ケイちゃん、アシストを。同じ血液型の、凜伽さんは輸血に協力してください。他の方は、魔族の攻撃を防いで下さい」
メイは、涙をこらえて左右宇を横たえるのでした。
「私が・・・、結界を張ります」
メイが呪文を唱えると、メイ、愛姫、左右宇、ゆう、ケイ、凜伽、なな、7人の周りを透明なドームが包みます。
「うこん、頑張って・・・」
ななも、左右宇に声をかけます。
「左右宇ちゃん、あなたは、私がきっと治してあげるわ・・・」
「私は、心を持たない、機械です。痛みも、苦しみも、悲しみも、感じません。ただ、愛姫さんを守れなかったのが、残念でなりません・・・」
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