第1章

5/15
前へ
/15ページ
次へ
「なに言ってるのよ、うこん。あんたの心が泣いてるのが、私には分かるよ。あんたは誰よりも、純な心を持ってるよ」 「メイちゃん・・・。それはきっと、嬉し泣きですよ。メイちゃんにこんなに思ってもらって・・・」  ゆうが、宣言します。 「これより、心臓移植手術を行います。-ケイ、メス」  空には、まだたくさんの魔族が残っています。 「ちっち、なつき、フォーメーション・デルタで行く!」 「OK。黒猫ちゃん」 「はい、隊長」  三人は、編隊を組んで魔族の群れに突っ込んで行きます。 「姫様! 私たちは、フォーメーション・・・」 「フォーメーション? そんな打ち合わせはしてありません」 「だって、だって」と、あみは、黒猫とまおとなつきを指差します。 「あれは・・・、その場のノリでやってるだけです」 「んじゃ、私たちもその場のノリで」 「そうですねぇ・・・」ちひろは、頬に人差し指を当てて考えます。「では、あみ、フォーメーション・シータで」  ピューーーーーーーーー。 「あ、姫様、待って、待って・・・」  あみは、あわててちひろの後を追いかけるのでした。 「ようーし、ももちゃんも・・・」  ももが、ジャベリンを握り、翼を広げてふわりと浮き上がります。ジェネラルが声をかけます。 「もも、あまり遠くへ行っちゃだめよ」  きみぃが箒にまたがって胸を叩きます。 「私がついてるから大丈夫!」 「よけい心配だわ」  アリスがすかさずフォローします。 「マネージャーさん、そんな、本音をストレートに言っちゃ・・・」 「みんなひどいよ。ぶーぶー」  きみぃとももは、ふらふらと空へ飛んで行きました。沙姫が後姿を見上げて、腕組みします。 「うーん、心配だにゃ」 「さすがのきみぃちゃんも、あなたには、言われたくないと思うわよ」 「術式終了。皆さんの協力に感謝します」  二時間をかけた大手術が終わりました。空からも、魔族を撃退した仲間たちが集まって来ます。 「サタンを見ると飛び出していく、愛姫さんの性格を利用されましたね」 「悪魔のように狡猾ね・・・」 「いや、悪魔だし・・・」  ジェネラルが言います。 「もはや、一刻の猶予もありません。火のアーティファクトを手に入れたサタンは、すでに魔王封印の地へ向かっているでしょう」 「魔王が封印されてるのは、どこなんですか?」  黒猫の質問に、ななが答えます。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加