第1章

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「絶海の孤島、ローズウッド島・・・。暗礁海域の真ん中にあり、大きな船は近付けません」まだ、左右宇の手足を抱いたままです。 「左右宇ちゃんは、大丈夫なの?」 「設計図は頭に入っています。私が治します。ですが、ここでは設備がありません」  メイに抱かれた左右宇が微笑みます。 「私は、平気ですよ・・・」  その時、高空から巨大な物体が舞い降りてきました。それは、6本の脚を出して、メイフェア隊の前に着地しました。 「あれは・・・、ハナミクラの空中戦艦・・・」  舷側のハッチが開いて、階段を軍服の老人が降りて来ました。老人は、ジェネラルに右手を差し出して言います。 「ハナミクラ共和国航空自衛軍護衛艦アントステラ艦長ユキヲ大佐じゃ。本艦でローズウッド島までお送りしよう」  ジェネラルは当惑しながら右手を握ります。 「あ・・・、ありがとうございます。まさに渡りに船・・・。ですが・・・」 「難しい話はあとあと。さあ乗った乗った」  ユキヲ艦長はジェネラルの背中をパンパンと叩きます。  メイフェア隊を乗せ、アントステラは空高く舞い上がるのでした。 map2 アントステラ 「ハナミクラはハイテク先進国じゃ。この艦にも艦載機の整備工具や機器はそろっておる。何でも好きに使ってくれ」  ななは、瞬間ぽかんとしますが、すぐに理解してお礼を言います。 「ありがとうございます」  ななとメイは、左右宇の体を抱いてハンガ-へ向かいました。 「そちらのお姫様は、しばらく安静が必要じゃな」  愛姫を抱いたまおと、ゆうは、医務室へ行きました。他のメンバーが案内されたのは、どうやら食堂です。 「現在、最大戦速でローズウッド島に向かっておる。が、まだ5時間は掛かるじゃろう。好きに掛けてくつろいでくれたまえ。 ああ、メイフェア王国の将軍殿、あんたの言いたい事は分かっておる」 ユキヲ艦長は、ジェネラルの向かいに腰掛けます。 「確かに、ハナミクラは戦争放棄を誓った永世中立国。軍の海外派兵には厳しい制約がある。じゃがな、世界の危機に国益もないじゃろう。議会のボンボンどもは、いまだに、『憲法解釈』じゃの、『法整備』じゃのとのたもうておる」 ユキヲ艦長は、紙ナプキンに鉛筆で似顔絵らしきものを描きながらしゃべっています。
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