二 おーい、そこのおねえさーん

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「この学校にはですね。まず、本校舎があって、部活棟、技術棟と呼ばれるふたつの棟がくっついているんです。それぞれの建物は渡り廊下で繋がっていて、本校舎から自由に行き来できるんですよ」 「そう」  綾音はふんわりと微笑んで、更紗に続きを促した。 「えと。まず本校舎ですけど、四階に一年生の教室があって、三階に二年生、二階には三年生の教室があります。一階は先生達がいる職員室とか、あと学食や購買なんかがここですね」  一息ついて、更紗は足元を指さした。 「それからここ、部活棟には、それぞれの部の部室があります。体育館もここなんです」  更紗は、指をあさっての方向に向けた。 「最後に技術棟ですけど、そこには特別教室があります。使われていない教室とかもあって、放課後になると人気がなくなる、少し寂しい場所なんです」  言い終えて、更紗は、ほうっと息をもらした。 「あの、あまりうまく説明できませんでしたけれど、大体こんなカンジです」 「ええ、お陰で良くわかったわ」  綾音は髪を後ろに流して、幼子を慈しむような顔を更紗に向けた。 「それで、更紗はこれから、どこへ案内してくれるのかしら」 「えと、そうですね。まずは体育館に行きましょう」  今いる場所からほど近い、親友の恵が活動を行う施設へと足を向けた。
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