二 おーい、そこのおねえさーん

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「あ、さららんと綾音せんぱいだ! やっほー」  体育館に入るなり、恵の歓声がふたりを出迎えた。 「もぅ、めぐったら声でかいよ。恥ずかしいじゃん」  更紗は本当に恥ずかしそうに、顔を真っ赤に染めて制服のスカートを握り締めた。 「なに、早速二人でデートしてるんだ。いいなぁ」  恵は駆けよってくるなり、もっと恥ずかしくなることをのたまった。 「で、でで、デートだなんて、そんな……」 「さららんってば、照れない照れない」  恵は更紗の頭をぐりぐりと撫でると、ぺこっと綾音に頭を下げた。 「綾音せんぱいっ。更紗のこと、お願いしますね!」 「え、ええ」  綾音が曖昧に返事を返したのと同じくして、恵を呼ぶ声が体育館に響いた。どうやら、練習試合をしていたところを勝手に抜けだしてきたらしい。 「っとと、ごめんね、戻らないと。じゃね、さららん。綾音せんぱいも、また明日」  恵は元気よく手を振り、コートの中へと戻っていった。 「ふふ、元気な良い子ね」 「はい。そうですね」  親友のことを良い子だと言ってもらえて、更紗はなんだか嬉しくなった。 「ねえ、更紗」 「なんですか」 「恵さんが、さっきおっしゃった言葉の意味って、なにかしら」 「えっ……」  デートだ。ゼッタイ、デートって言われたのを気にしているんだ。ああもぅ、めぐのばかぁ。     
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