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「あのっ、お昼のときに頂いたお茶のお礼です」
更紗は白いテーブルの上で優雅に頬杖をついている綾音のもとへと戻り、お茶の紙パックを差しだした。
「あら、お礼なんていいのに。でもそうね、せっかくだから頂くわね」
お茶を受け取り、にっこりと微笑む。
それだけで、更紗は天にも登るような嬉しい気持ちになった。
「どうしたの、更紗。おかけなさい」
(ああっ、綾姉様。座れという言葉もステキ)
更紗はほっこりとした笑顔で、白い椅子にちょこなんと座った。
しなやかな指でストローを取りだし、先端を伸ばしてからぷつりと刺す。それだけの動作でも、綾音の動きにはまるで演劇のような、思わず見蕩れてしまう、洗練された美しさがあった。
そっとストローにくちづけして、お茶を吸い込んでから、綾音はようやく更紗の熱い視線に気がついた。
「あら、なぁに? 私の顔に何か付いていて」
「いえっ、そんな、違います。あの、綾姉様が、その、キレイだな……って」
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