二 おーい、そこのおねえさーん

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 当然だと言うように、綾音は自然に答えを返した。  それが意外で、でもすごく嬉しくて、なんだかよくわからなくなってしまって。更紗は顔を俯けながら紙パックを握りしめ、ちうちうと中身を吸った。 「ねえ、更紗。ずっと言おうと思っていたことがあるの」 「え」  更紗の胸がキュンと跳ねた。 (な、なにを言われるんだろ)  綾音の次の言葉が待ち遠しくて、期待と不安で胸がいっぱいになった。だから、ぎゅっと手を握りしめた。  そうしたら、持っていた紙パックからお茶が飛びでた。 (あー、わたしのばかぁ……)  フキンを持ってきて机の上を拭き、仕切り直し。 「更紗、あなた」 「はい」  なにを言われるんだろう。更紗の胸がキュンと跳ねる。 「頬紅、塗り過ぎよ」 「…………わ」  わたしを赤くさせるのは綾姉様です。なんて言えない更紗は、頬を染める朱を更に足した。
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