第一章・続3

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「なぁ、岩元さんよ」 調べが及んでしまった為か、捕まった時より幾分かは不貞不貞しい様子も成りを潜め。 頭を剃ったプロボクサーが暴力団に変わった様な岩元は、少しふてくされた顔をして対峙していたが…。 「あ? 何だよ」 「あのさ。 お宅、何でこの辺一帯の警察署の自転車の在処なんかを、あの須藤に調べさせたのよ。 振り込め詐欺の頭に納まったなら、警察署なんかど~でも良かっただろうにさぁ。 それとも、詐欺を働く現場の警察署は、ぜ~んぶ調べたとか?」 すると、不気味とニヤニヤした岩元で在り。 「俺はな、警察がだぁ~いキライなんだよ。 それ以上に、俺達の事をサツに垂れ込む阿呆は、軒並み全員を殺してやる。 大体、どいつもこいつも騙されるのは、老い先の短いジジイやババアだ。 死ねば国だって払う税金の量が減るだろう? 寧ろ、‘超高齢化社会’への打開策だよっ」 と、嬉しそうに言った。 この様子は、マジックミラーの向こうでは郷田管理官他、一課の刑事達、所轄の刑事達も見て居る。 岩元の物言いに、刑事達は苛立ちを覚えて居る様だ。
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