第一章・続3

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                    1 里谷刑事が警視庁の外に出て、20分ほどした後。 (新商品のパフェちゃん、待っててねぇ~ん。 カツカレーの後で、アタクシのお口に入れてあげりるぅ~) わざわざお金を下ろした後、コンビニで新商品の為に並んだ里谷刑事が、珍しく‘ルンルン気分’で戻って来たが…。 警視庁内に入り、割り当てられた部屋に戻ろうとした時だ。 「退け退けっ!」 数名の刑事が血相を変えて、廊下を走って行く。 「あらら?」 何事か、と後を着いて行く里谷刑事は、取り調べ室に刑事やら職員が集まって居るのか見えた。 「え? え゛っ? な・にぃ?」 とんでもない騒ぎなので、取り調べしていた誰かでも脱走したなど、異常な事態が起こったのかと思ったが…。 取り調べ室の近くの壁際に、刑事課の女性職員が俯き背を併せて居るのを見て。 「沙樹ちゃん、どうしたの?」 震えてさえ居た女性職員は、頼れる女性の里谷刑事が来ると。 「さとやさぁ~ん」 と、抱き付いて来た。 そして、その後。 7時前ぐらいか。 トイレから戻ったフリをする気だった木葉刑事だが、まだ里谷刑事が戻って居らず。 久しぶりに身に着ける通信機やGPSを見ていると…。 廊下から走る足音がしたと思ったら、里谷刑事が飛び込んで来る。 「ねぇっ!! 遠矢の事を聴いたっ?!」 と、コンビニの袋をテーブルに置く。 己のした事だが、知らぬ存ぜぬを貫く気の木葉刑事だから。 「遠矢が・・どうかしました?」 と、里谷刑事に問い返せば。 息の荒い里谷刑事は、 「それ・がっ、狂った様に喚いてっ、気を失ったって!」 呼吸を落ち着かせようとする里谷刑事だから、語りの端切れ悪く聴いた事を語れば。 「あ、じゃあ・・さっきの大声って、それか」 息を整えた里谷刑事は、鋭い視線を向けて来ると。 「昼間に焼き肉弁当を平らげて刑事をコケにしまくってた奴が、持病も無いのに何で喚いて気絶するのよっ」 このまま喋らせると、怒鳴られそうな木葉刑事で在り。 「俺に・・言われても、なぁ…」 と、生返事しか出来ないと見せる。 苛立って居る里谷刑事は、後の事が心配なのか。
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