4人が本棚に入れています
本棚に追加
なんとこの遠矢は、自分とは正反対の生き方をする記者の家を盗聴させ、その薬物使用の事実を掴んだ。 そして、まだ事態が表面化してない頃に、その病院の院長へ恐喝を仕掛けた。 見返りは、その違法な薬品使用の実態を調べる記者の始末で在る。 金を受け取った遠矢は、盗聴マニアの若者を使ってその記者を殺害。 足が着く前にと、その若者を自殺に見せ掛けて殺した。
どうしたものかと困るのは、自白を受ける刑事たち。 正直に自白する遠矢の話は、どれも驚くものばかり。 然も遠矢は、様々な情報を隠す秘密の隠れ家を持っていて。 その場所をも話し。 トドメには、なんと自分を弁護する弁護士の弱みやら、その派遣をした議員、企業、暴力団関係者の弱みについてまで話す。
10年ぐらいの余罪を喋る遠矢は、
“俺を死刑にしてくれっ!! こんな世界はっ、絶えられないっ!”
そう喚いて刑事に泣きつく。
そんな遠矢を見て、余りにもすんなり自白する様に刑事達は、自分たちは騙されて居るんじゃないか・・、とすら思った。
だが、雨が降る午後。 夕方の闇が迫るこの間に、彼の自白に基づいて誰にも知られてない遠矢の隠れ家に行けば。 自白した余罪についての写真、データ、メール、資料と、遠矢の知る悪事の様々な証拠を押収する。
警視庁の仮眠室にて休み、朝に起きて来た里谷刑事だが。 刻一刻とその慌ただしく変わる事態や態勢に。
(ナニが、ど~~なっちゃた訳?)
呆けるしかなかった。
取調室にて、遠矢が余罪を更に洗いざらい喋り始めたと云う事で。 取り調べの状況を聴いた木田一課長は、捜査一課の待機に回る二つの係、六班を全て投入する。
午後には隠れ家が発見されて、隠されていた情報の内容を聴いた木田一課長は、刑事部長に掛け合って二課の選挙違反から贈収賄を扱う係、組織対策課の違法薬物を取り締まる係も頼む。
この大掛かりな捜査態勢に、遂に刑事部長は‘特別捜査本部’の設置を決定。 それまでは、企業や議員から圧力を受けた警察庁の上層部が歯止めを掛けていたが、遠矢が喋って証拠や情報がこんなに出ては歯止めも掛からない。
“遠矢関連特別捜査本部”
として、証拠の確実な犯行から、他の容疑者の確保に動く。
最初のコメントを投稿しよう!