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右肩にかけたトートバッグを持つ手に力がこもった。
110番、咄嗟にそう思った。
スカートのポケットから携帯を取り出し、電話のキーパッドを開く。
1…1…0…そこまで打った瞬間、ふと一昨日のダイレクトメッセージが蘇った。
「すぐに助けに行きますから。」
気づけば110番のキーパッドを閉じ、かけたことのない電話番号を画面に表示していた。
発信ボタンを押す手が震える。
手汗がひどく携帯を握る手を滑らせようとしている。
発信ボタンを押すとプププ…プププ…と呼び出し音が鳴った。
画面には、初めてかける「はるかさん」の文字。
プルルルル…かかった。はるかさんにかかった、と思った瞬間。
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