うしろ

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帰り支度をして外に出ると外は真っ暗だった。 季節が秋から冬に変わろうとしている十一月の半ばはコートを着ても寒くて仕方ない。 最寄駅に着いてから家に帰る途中の歩道と車道の境がない場所に差し掛かると、いつものように気配がした。 また、いる。 後ろに気配を感じ始めたのは今から約一年前からだ。 最初は「ストーカー」という存在が怖くて仕方なかったのだが、一年もの間、わたしに何も危害を加えないストーカーは月日が経つにつれて恐怖とは無縁なものになっていった。 わたしの後ろを追いかけてくるこの気配は、いつも決まって一定以上距離が開いていた。
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