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はじめまして、こんにちは
あれから約二週間。
たまごはすくすくと育ち…と言いたいところだが、実際大きさも色も変化がないのでよく分からない。
それでも二日に一回は水浴びをさせ、日向ぼっこをさせてたまーにベッドの上にスペースを作って一緒に寝たりした。
愛情をこめて、と言われれば込めたと思うし、たまごの中の子に早く会いたい気持ちは強くなっていくばかりだった。
「ね、きみはいま何をしているのかな」
今日も仕事終わりにたまごをつつく。
茶色いたまごは私のお古のセーターにくるまって生きている。
そんな時。
ククッ、ククッ、ピキッ…
たまごの殻が割れる様なかすかな音が部屋に響く。
慌ててたまごのケースの前へ!
中から必死に殻を破ろうとしているのが伝わり、思わず手を伸ばしてやりたくなるが我慢。自分で殻を破るのもこの子の成長に欠かせないものだと、説明書で学んだのだ。
全てしてあげたい気持ちもあるが、人の子だってすべて親がしてしまうと何もできない子になってしまう。それとおんなじだ。
頑張れ、頑張れ、と応援しながらたまごを見つめていると
ピキッ…
たまごのてっぺんに穴が開いた。
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