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母さんは、俺が6歳の時に死んだ。
不慮の交通事故だったらしい。
母さんがいなくなってから、親父に育てられた。
男手ひとつなのに、贅沢とは言えないが金には困らなかった。
俺の為だけに必死に働いてくれたからだ。
俺が泣いていると、いつも母さんが優しく抱き締めてくれた。
もう一度、温もりを感じたい…。
優しく抱き締めて欲しい。
「母さん…。」
俺…、もう疲れちゃったよ…
ふと目が覚めた。
いつの間にか寝てたらしい。
机に置いてあるスマートフォンを手にとった。
何があるか分からないから、いつも携帯は学校へは持っていかない。
深夜1時。
今朝とは違い、珍しくメールが1件来ていた。
慣れた手つきでメールを開く。
少し期待していたが、やはり裏切られた。
「業者か…」
よくある、迷惑メールだった。
ここ最近は 業者からしかメールが来なかった。
ため息をつきながらメール画面を閉じようとしたとき、ある文字が目に留まった。
「あなたの会いたい人に、会えます。」
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