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「何故……です?」
芹岡は、ふんと短く鼻を鳴らし、私の横へ座った。
ドス、とベッドが揺れ軋む。
「そんで、優美ちゃん。 何で俺にわざわざ近づいて、俺のことを聞き出して、同情でもしたようにしたの?」
表情は見えないが、金髪が少しの明かりで光った。
何故、このような形で私を呼び出したのか。
芹岡の行動、思考、言動…
全てを思い起こした。
そして私は、賭けに出ようと思った。
「怖いんですね。」
「はっ?」
芹岡の小馬鹿にしたような声が聞こえる。
「芹岡先輩の言う通りです。 私は、ある理由があってあなたに近付きました。」
やつは返事をしなかった。
「本当の目的は、本田先輩でした。 芹岡先輩にはもう少し黙っていようと思ってたのに。」
私は芹岡を直視して、体を強張らせた。
「芹岡先輩のことを知っていくうちに、本田先輩をリンチしているのには、ある理由があると思いました。」
「へぇ。 ある理由ね。 そんで、それは何なの?」
芹岡が苛立っているのが分かった。
「それは、あなたから直接聞こうと思います。 でもひとつ、分かったことがあります。」
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