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教室の重たいドアを開けた。
日に日にこのドアが重くなっている気がする。
もわっとした気持ちの悪い空気が俺を包んだ。
教室内はざわついており、皆こちらを一瞥もせずそれぞれの会話に夢中だ。
周りの色に合わせて溶け込むのは簡単。自分の意見は閉じ込めて、都合の良い行動だけをする。
俺もその中の一人。そのつもりだった。
席は、一番後ろから二番目の窓側。
午前中は日がよく当たって、昼にはフラフラになる。
クーラーは付いておらず、心ばかりの扇風機が一台、廊下側の壁に吊られているだけだ。
無論、その微風は窓側まで届かない。
周りを見ないようにしながら、静かに席についた。
同時に、それは来た。
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