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放課後になってしまった。 俺は体育館裏に連れてかれた。 地面はコンクリートで埋められ、煙草の吸殻やごみが散乱していた。 頭の悪い連中が隠れて過ごす場所だろう。 乱雑に押されて、体育館の外壁に寄りかかった。 向かいの高いコンクリートブロックの壁の向こうは、線路があり時折電車が通る。 5、6人の男に囲まれた。 金髪や赤髪。皆 芹岡の不良仲間だ。 「遊ぼうよ」 と芹岡が低い声で言う。 夕日の逆光で、芹岡のシルエットが黒々と浮き上がり、不気味だった。 芹岡は金髪で、ピアスをいくつか開けており、細身だ。 学年のボス的な存在らしいが、陰で卑怯なことしかしない。 煙草、飲酒、麻薬、暴力… 全て見えない所でやっている割に、教室でこれでもかと言わんばかりの大きな声で自慢している。 噂が教師の耳に届き、呼び出されたこともあったが、全て証拠がないとのことで認められていないらしい。 …これも芹岡の自慢話だが。 こんな奴の仲間になる気持ちが分からない。 しかし皆、芹岡には歯向かわない。
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