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「ふう…」
キースは顔にかかった血を拭って息を吐く。剣道では多くの人と対戦してきたキースだが今回は獣。しかも命懸けということもあり疲労がすさまじかった。
ふと、何処からか水の流れる音が聞こえた。
その音でキースは喉がからからになっている事に気付く。
「…喉乾いたな。」
そう呟くとキースは錆び付いた剣を掴んで立ち上がった。
「…行くか」
キースはふらつく身体で導かれるように水の流れる方へ歩き出した。
――――――――――――――
「……」
それからまた草むらを掻き分けながら歩き出してから数分後、大きな滝がある場所にたどり着いた。
滝から流れる水は川みたいに向こう側まで続いていた。
しかし、水は透き通っていて綺麗だ。
キースはそれをためらいなく掬って飲む。
「ふ~、生き返ったぜ~!!」
何回か掬った後、潤った喉で大きな声を出す。辺りには先程のような動物の気配もなくやっと緊張が解かれた。
「…さて、水飲んだし、さっさと行きますかね」
キースはまた目的の出口を探して来た道を戻ろうと歩きを再開するが。
「ん?」
数歩歩いた所でふと流れる水道の反対側の淵にある岩に何かが引っ掛かっているのに気付いた。
「!?」
キースは何だと思いながらも近づきそれが女性だと知るがいなや急いで水道を飛び越えそこに駆け寄る。
「おい!あんた大丈夫か?!」
女性を抱き起こして耳元で叫ぶが応答がない。
どうやら気絶しているようだ。
濡れた体を見る限り滝の上から流されたと思える。
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