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ブカブカだった胸元はいつの間にかピッタリと収まり赤い薔薇のコサージュがあしらわれていた──
スカートは細いラインのままで丈はまだ長い。
「お前に長いドレスは不釣り合いだな」
「え…」
グレイは口にした途端に指を操るとドレスの裾が巻き糸を抜くようにシュルシュルとリボンの幅にほどけ、螺旋状に床に落ちていく──
膝の丈まで短くなるとそれはピタリと止まっていた。ロングよりも短い方が幼く見える。
“長いドレスは不釣り合いだな…”
そういうことか…
ルナは下唇をキュッと噛んでいた。
「レースも少し足してやろう…」
「レー…ス…」
「ああ、……大人っぽくしたいのだろう?」
「──…っ…別にそんなことはっ…」
「気にするな…」
「──……」
「年頃の乙女が背伸びしたがるのは当たり前のことだ──」
「……っ…」
「お前の望みは叶えてやる」
グレイはルナを見つめ軽く口付けた。
唇を重ねながら指先を踊らせる。
先程よりも短くなっていくドレスの裾。膝の上までくると今度は床に落ちたドレスの切れ端がレースとなってスカートの裾を飾っていく──
そのレースは最初の膝丈の位置までくるとぴたりと止まっていた。
太もものレースの透け具合が少し大人っぽさを漂わせる。
「どうだ?」
「どうって…」
細かく窺ってくるグレイにルナは目を反らして頬を赤らめていた。
ルナの様子を見ながら仕立てを進めていく──
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