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わかってるくせにっ…
あたしの心の中を覗くくせにっ…
「そんなことっ…」
「そんなこと──…無理だろう?」
グレイは顔を上げたルナを見てフッと意地悪な笑みを浮かべた。
「お前はもう俺を拒否できない──」
グレイはルナの腰を抱き手を握る。
再び聞こえてきたワルツの曲──
周りを彩る賑やかな風景。
短くなったドレスのお陰でステップを踏む脚のたどたどしさが目立つ。
ルナは焦りながらグレイに着いていった。
「上手く踊ろうと思うから踊れない──俺に身を委ねてみろ」
「そんな言ってもっ」
「膝を俺の足に合わせれば着いてこれる。いいな?やってみろ…」
「な、だってっ…」
躊躇うルナの足の間にグレイは膝を割り込ませる。
互いの左右の膝をつけてリズムを刻むと不思議と早いテンポに体が自然と着いていく──
「なんだできるじゃないか?──その調子だ」
「……っ」
褒められて思わず照れが増した──
「これだけできるなら次は実践にいってみるか──」
「実…践っ!?」
「ああ…」
「実践てどこでっ…」
「もちろん人間の舞踏会だ──」
「………」
「これは花嫁衣装だからドレスはまた別に仕立ててやる…」
ルナは突然の申し出に目をパチクリと瞬く。
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