119人が本棚に入れています
本棚に追加
週末のゲーム
「どうだった?」
深夜のファミレス。メニューを開き最初に訊いてきたのはマユだった。
「二万円」私は金額で答える。
「二万円」翔子も同じ。
「私も二万円」マユはケラケラと笑う。
その金額は客のルール違反を意味する。
料理の注文をしたあとに、私たちはスマホを見せ合った。写メの画像は、どれも仰向けの蛙。
私のは、ひょろりとした色白眼鏡。
マユは、頭髪がほぼない脂ぎった太っちょ。
翔子は、見た目は特にこれといった特徴もない普通の男。
だけど「ロープ持ってたのよ」彼女は眉間を寄せて言った。
「げっ、最低」と、マユは吐いた。
私たちのゲームには常に危険が付きまとう。
だからそれぞれにスタンガンを所持している。
最初はみんな、そのスイッチを押すのに躊躇いがあったけど、今となっては身を守る大事な武器。
使う自分さえも威嚇する音や光にも、もうすっかり馴れた。
最初のコメントを投稿しよう!