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見せるだけ。
「お仕置き」
近付く男に冷たく放ってひらりと身をかわし、手にした機械を白い皮膚に押し当てた。
電流が火花を散らし、バチバチっと音が炸裂する。
全裸の男はすぐに気絶した。
仰向けの蛙のように、みっともなく倒れている姿を見下ろすのは、これで何人目だろう。
九割の男は私との約束を守れない。
私は服を着てから、客の衣類のポケットをあさり、見付けた財布からまず万札を一枚抜き取る。
そして「これはペナルティーの分」と無言の蛙に告げてから、もう一枚、自分の物にする。
ほぼベッドが占領している狭い室内を、忘れ物がないか見渡してからドアノブに手をかける。
「私は最初から、見せるだけって言ったんだから。悪く思わないでよ。じゃあね」
返事のない部屋に言い残し、安っぽいラブホテルを早々に後にした。
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