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ある日、お母さんアヒルが湖の畔で卵を温めていました。
4つの卵から、パリパリッ
「ピヨピヨピヨっっ」
それはそれは可愛い黄色い雛たちが4羽生まれてきました。
ところが、残り一つの一番大きな卵だけが、なかなか割れません。
しばらくしてバリバリ鈍い音をたてて、やっと出てきたのは、たいそう醜いアヒルでした。
「グァー、ガー、ウ゛ァー」
「まあ図体でかくて、なんて醜いこと!!鳴き声もなんて汚らしいの!!」
お母さんアヒルは嘆き悲しみました。
他のどのアヒルの子よりも目が大きく、ぱっちりしていて、毛艶もいいのにです…。
お母さんアヒルは白鳥の雛も自分が産んだアヒルだと思っていました。
湖の流れに乗って、白鳥の卵が一つ紛れ混んでしまっていたのです。
お母さんアヒルは、可愛い黄色い雛たちには、捕まえてきたミミズを、くちばしから、くちばしに入れ渡し、醜い雛には、どうでもいいように哺乳瓶に入ってるミルクセーキを投げ渡しました。
お母さんアヒルは、醜い雛には、高価なミミズや、お肉や粟は、あげたくなかったのです。
「やい!お前ダサいんだよ!!」
「お前なんて、どこかに行けばいいのに!!」
「お前、ホント醜いなあ!!」「お前なんて仲間外れにするぞ!!」
4羽のアヒルの子たちに罵詈雑言を浴びせられます。
激しくつつかれ、蹴飛ばされ、体中傷だらけになりました。
お母さんアヒルは、黄色い雛たちを背中に乗せて、湖に散歩に連れ出しました。
白鳥の子は自ら、お母さんアヒルの一番後ろに飛び乗りました。
「まあ!なんて邪魔なの!!あんたなんか乗らないで!!」
邪険に白鳥の子を湖に突き落としました。
白鳥の子は自力で湖から橋に登りました。
橋に座り、水面に映る自分の顔を見て
「ぼくって兄弟と違って、なんて醜いの…。
毛の色も、どうしてこんなに違うの…。」
足を投げ出し、大粒の涙をこぼしました。
投げ出されてるオレンジ色の足と自らの羽で涙を拭ってる姿は、はたから見ると、とっても可愛いものです。
そこへ鳩の女医さんが通りがかりました。
「おや?ぼうや、怪我してるねぇ。」
鳩の女医さんは病院に連れてゆき、体の傷には軟膏を優しく塗り、足の怪我には、痛々しく見えないように、ピンク色の包帯をリボン結びにして巻き、手当てしました。
白鳥の子は‘丸い鳥の巣ベッド’に横たわっています。
鳩の女医さんは言いました。
「ぼうやは、白鳥の子だねぇ。」
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