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 昨晩、脳みそを麻痺させる為だけに買ったカップ酒の残りを捨てて軽く伸び。こんな気持ちになるのも、元はと言えば朝日の所為だ。ああ、もしかしたら、人は人だけに支えられてるんじゃないのかもしれんな。  煙草に火を点けて、山吹色したイチョウの下を歩いていく。はっはっは、くせえな。  駅へと向かった。東京のお家へ帰るべく。垣根から伸びる枝に生った青柿が熟れてもいないのにぐちゃって地面に落ちて潰れた。  ******  仕事に躍起になって、子育てに追われて、旦那に浮気され、あたしの人生なんやと思うてるんや神様は。  なんかあたし、悪いことした?  してへんやろ。  バチってのは、悪い人間に与えられるモンやろうが。ふざけんなよ世界、コラ。 「ママ~、見て見て、どんぐり」 「そんなモン、拾うてくんなや。あたしに喋りかけんといて!」  車を失った今、和也(かずや)が通う幼稚園へは電車を乗り継いで行かなければならないのだが。子どもっていうのはどうしてどいつもこいつも物を拾ってくるのだろうか。  一服するため立ち寄った公園で、うな垂れる。ここは、子どもたちのユートピア。栗色の髪を掻き、唾を吐いた。 「ごめんなさい」  もう、うんざり。  自分の子ながら忌まわしい。こうやって遠回しにあたしを責めたてるんだ、あ~どいつもこいつも。     
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