idol crisis

4/12
前へ
/12ページ
次へ
科学が発展し、人類の生活は豊かになっていった。しかし、結婚をしない、子どもができないなどの問題が増え続け、人類は徐々に少なくなっている。 そうなってくると、芸能に力を入れていた会社は人材を維持することが困難になり、数少ない人材から様々なデータをとり、バーチャルの世界へと、活動を移すことを余儀なくされたのだ。 最初はアニメのようで、あまり人気がなかったバーチャルタレントではあったものの、技術の進歩により、人間に近くなっていくと、次第に人気が上がっていった。リアルに行動するようなプログラムの確立され、スキャンダルなどのニュースも取り上げられるようになっていくと芸能活動は、人数の少ない人間から、データさえ作ればどんどん増えていくバーチャルタレントへと変わっていった。 しかし、増えすぎて使い道がなくなっていくタレントのデータが多すぎて、管理が難しくなったバーチャルタレント事務所は、次第に課金制を取り入れて、タレントを定期的に削除していくようになったのだ。 バーチャルタレントにとって、データの削除は死と同じであり、二度と復活することはない。しかし、それはニュースになるどころか、一種のイベントのようになり、ファンは自分が好きなタレントを生かすために惜しみなく、お金を使うようになっていった。 少ないファンでは維持ができないと思われるポイントを設定し、そのポイントに満たなければ、容赦なくデータが消されていくというシステムが採用された。最初は一年に一回行われていたそのイベントは、半年に一回、三月に一回と、どんどん短いペースで行われるようになり、最終的には一月に一回のペースで開催されるようになっていったのだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加