idol crisis

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ファンがドラマを視聴することによって、好きなタレントにポイントを贈る権利が発生したり、歌を購入することによって、ポイントが加算される。また、それだけではなく、ポイント自体を課金することができるため、ポイントを購入し、タレントにプレゼントすることもできた。 そのポイントの多さで削除が決まるだけでなく、次に制作されるドラマのキャストや、新曲を歌うことができる歌手などの権利が決まるということもあって、ファンの投資は非常に多く、バーチャルタレントは大量生産され、大量削除されていた。 好きなタレントがメインキャストになれば、次も見たくなって課金をし、メインキャストから外れれば、次に期待して課金をする。その繰り返しが行われていた。 しかし、そのことによって、リアルな感性を持ったバーチャルタレントたちは、大きなストレスにさらされており、人のように精神を病んでしまう者も少なくなかった。 逆に人気があるものは天狗になる者がいたり、蹴落とされていじめの対象になったりと、人の世界のように、感情があることによっての弊害というものも、確かにあったのだ。 その中で、真鈴はのし上がり、ヒロインを何度も指名されるという活躍をしてきた女優の一人である。人気のある俳優と恋仲になるなど、恋多き女優としても有名ではあったが、人気の増減はあるものの、そこまで深刻な事態に陥ったことはない。 望月花蓮が出てくるまでは──。
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