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イベント当日。残るタレントが一堂に会するのは、大きなステージのような場所である。
「おはようございまーす」
あちらこちらで聞こえる声が、どことなく暗いのは、気のせいではないだろう。
最近は新人が出てこないからか、人数は一番多かった頃に比べて、半分以下に減っているのも、その一因であるのかもしれない。
「大丈夫か?」
ステージに用意された椅子の上で、真鈴が座っていると、一人の男が声をかけてきた。日浦猛──現在の真鈴の恋人であり、人気俳優の一人である。
「お前、顔が青いぞ」
そう言われて、初めて真鈴は自分の体が小刻みに震えていることに気づいた。堂々といつものように座っていたつもりだったはずなのに、現実は違っていたようだ。
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