7: 新品

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「今日からこの倉庫の担当に加わる新メンバーだ。よろしく頼むぞ」 珍しくフォックスが朝礼にいると思ったら妙に肌艶のいいアンドロイドを連れていた。誰と入れ替わりか……そういえばオルゴールを最近見かけなくなってたな。 「160901KGはバッテリー修理でしばらくメーカーだ。……ウォッチ、この後会議だ。第二作業室に椅子を用意しろ」 「はあい」 フォックスの会議を嫌がらないのはウォッチぐらいじゃないのか。そんなことを思いながら二人を見送り、後には新入りが残された。 「あー、よろしく。160825ALだ。ノンベーって呼ばれてる」 「……170401MU。よろしく」 一拍遅れてカックンとお辞儀。動作も反応もワンテンポ遅れる。 「あー、新品なんだな」 隣で握手をしながらサンが言う。成る程、初期設定がまだで最適化てきていないから処理に時間がかかっているのか。 「お前、趣味は?」 「シュミ」 「何をするのが好きなんだ?」 かくん、と頭が傾く。新品のくせに感情表現は一丁前だな。まだ趣味も無いくせに……。仕方ない、面倒だがしばらくは番号呼びだ。 「設定頑張れよ」 サンが肩を叩いて持ち場に戻っていく。俺担当かよ。面倒くせえ。 困ったように、こちらを見る新品。 「……改めてよろしく、だな。お前は何て呼ばれるようになるんだろうな」 新品は少し考えて、俺を見返した。
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