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「昔、人類は神を創造主と崇めたという」
「なんだ、藪から棒に」
いつものバーで相席した友人の言葉にため息をついてジョッキを置いた。眉があったらひそめていたところだ。
まあもともとこいつは神だの信仰だのそういう発言が多い方だが。だから呼び名がヨゼフになったわけだけど。
「我々アンドロイドにとって神とは何か、ということだ」
ヨゼフもその変えようのない気難しい表情で空中に文字を書く。恐らく無意識に、創造主と。
「アンドロイドの創造主は人間だから人間を神と讃えてればいいのか?」
「それともさらにその創造主こそ我らの神ともいえる。それが居なければ我々は生まれていないのだから」
おいおい、ダーウィンの進化論の話を昨日したばかりじゃないか。
ヨゼフもそれを思いだしたようで、どこまで祖先をたどったのか土を掘り返して何か供えれば良いだろうかと真剣に悩み始めた。端から見れば畑を耕すただのロボ。
「……どーでもいいね。俺はエールビールと、それと共にある全てに感謝。それでいいさ」
誰と合わせるでもなくジョッキを掲げて一人乾杯し、残りを一気に飲み干した。
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