【ゴースト・オブ・ザ・謝罪】

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{1} 「ふわぁーっ」 私は、ベッドからむくりと起き上がると、大きく『伸び』をした。 窓の外を見てみると… 明るく穏やかな朝の光がカーテン越しに部屋の中に射し込んで来ている。 枕元の時計は、朝の9時。 「うーん。今日も気持ちの良い朝だなぁ」 私は、ベッドから抜け出すと、シャーッ!とカーテンを開き、パジャマを脱いで普段着に着替えた。 「あ…そうだ」 と、書斎に行き、机に置いてある大学ノートとボールペンを手に取りページを開く。 (ここ最近の私の『習慣』だ) そのページには… いくつかの『言葉』が書き込んであった。 『すいません』 『ごめんよ』 『申し訳ない』 『すまん』 『メンゴメンゴ』 『かたじけない』 『ソーリー』 そのどれもが… 様々なバリエーションの『謝罪の言葉』…。 勿論、書き込んだのは、この私だ。 「えーっと、 昨夜の夢の中で聞いた『謝罪の言葉』は、確か……『ごめんなさい』だったな…」 と、私は思い出してその一番下の行に『ごめんなさい』と、書き足した。 いつもながら… その『夢』の内容は、はっきりとは覚えていないが、私に語りかけて来たあの声と言葉だけは、なぜかいつも鮮明に頭の中に残っていた。 (恐らく、昨夜の夢で私が聞いた『謝罪の声の主』は…感じからして、若い女性だろう) 私が、『ここ』に住み始めてから…今日で、まる一ヶ月。 その間に、 私は昨夜に至るまで数日に一度くらいのペースで、実に様々な老若男女の謝罪の声を夢の中で聞いていた。 そこで…私はちょっとした思い付きで習慣的にその言葉をノートに書き記し始めたのだ。 私は… その『謝罪の主たち』に会った事も無ければ、 一体、誰なのかという心当たりも無い。 いや。 心当たりが無いというのは… 正確な表現じゃないかもな……。 恐らく、この謝罪の主たちは皆… ここから4キロほど離れた所に有る、『〇〇霊園』に住まう(?)霊たちだろう。 まあ、『霊が出て来る夢』と言っても… その夢の内容を私はよく覚えていないし、一度だってカナシバリになった事も無い。 (むしろ深く睡眠をとる事ができ、翌朝の目覚めは、すこぶる良いくらいである) じゃあ、何で… その夢の中に出てくる声の主が『〇〇霊園』に住まう霊たちだと分かるのかと言うと… それには、こんな理由が有る。 あれは… 今から、ちょうど一ヶ月前の話だ……。
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