【ゴースト・オブ・ザ・謝罪】

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{4} さて、それから数日後。 私は、自分の荷物と共にそのD棟に引っ越した。 建物は二階建てで、一階は3LDKの申し分無い造りだ。 何より、周囲の環境が鈴木君が説明していた通り、自然に囲まれた本当に素晴らしいロケーションだ。 私は、その日のうちに荷ほどきを済ませ、 夜となり、ベッドで眠りについた。 と… 『すいません…』 何者かの声(中年の女性の声?)が… 聞こえて来る『夢』を見た。 次の日の朝、 起きてみると夢の内容はよく覚えていないのだが、 その時に聞いた『すいません』という言葉だけは、妙に頭に残った。 さて。 こうして、私はD棟での生活を本格的に始めた。 私の毎日の日課は、 まず、午前中は家の周りの自然を満喫しながらウォーキングを兼ねての散策。 そして、午後からは自宅(D棟)で小説の執筆というものだ。 それで… 更に数日が過ぎたのだが… 私が、霊の姿を見る事は、一向に無かった。 まあ… 元々、私は『霊感が零感』(レイカンがレイカン。笑)という訳だ。 それより… ここの周りの環境は、自然に囲まれていて本当に素晴らしい。 私は、毎日のウォーキングを続けるうち、私なりに『お気に入りのコース』を見付けていた。 そんな、ある晩の事。 夜に私が眠りについていると…また妙な夢を見た。 『ごめんよ…』 (今度は、男の子の声) またもや… 次の朝起きてみると、夢の内容は覚えていないのだが『声』だけは、頭に残っている。 「もしかして…」 と、私は考えた。 「夢の中で、私が聞いたこれらの『謝罪の言葉』は… このD棟を『霊道』として通っている霊たちが、私に謝っているのではないだろうか…」 『霊道』とは言え、 『人の家』に上がり込むのだ。 多少の申し訳なさは、感じているのではないだろうか。 「何とも、律儀な霊たちじゃないか…アハハ」 そして、それからというもの… 私は、『彼ら』からの様々な謝罪の言葉を夢の中で聞くようになった。 『すいません』 『ごめんよ』 『申し訳ない』 『すまん』 『メンゴメンゴ』 『かたじけない』 『ソーリー』 『ごめんなさい』 しかし、それ以外の不思議な現象は全く起きなかった。 そして… こうして私は、 鈴木君との『約束の一ヶ月めの朝』を無事に、迎えたという訳だ。
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