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「──さっきの子、なに……?」
積極的なオトナ彼女とホテルの一室。
「アレは……」
いや。悪口は危険だ、やめておこう。
「うふ。別にいいけど……ぁ、ん……」
まずはマウストゥーマウスで事前チェック。これ重要!
「君の吐息……イイね。甘くて、痺れるような……金木犀の香り」
唇に囁くと、彼女はオイラのシャツのボタンを外し始めた。
「ふふ。うふふ……ぅフフフ……」
絡め合った彼女の舌が、突然じゅるりと伸びてオイラの喉まで。
「ガハ……ッ!?」
咄嗟に突き飛ばしたが、舌はまだオイラの口の中。さらに伸びて喉の奥に侵入する。
「ボェッ……、やめんか!」
その舌を片手で掴み、口のから引きずり出した。
「最近この辺りで男の変死体がよく発見される。その舌で生気を吸い尽くしてるな」
ケケケケ……と下卑た笑いを漏らし、女の長い舌がとぐろを巻く。
「でもその技はオイラには効かないよ。……生気ないから」
はだけたオイラの胸には、暗い、横長の風穴が空いている。地獄と繋がっているその穴に手を突っ込み、収めてある愛刀『月斬』を引き抜いた。
「とうの昔に死んだのに、死体にチョイと細工されて冥界からこの世に逆戻り。今は閻魔様の裁きを受ける順番をひたすら待ってる」
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