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いま売り出し中の新人女優――名前は確か、歴木まいか――を、次の映画に出演させることになった。いきなり準主役に大抜擢である。
演技力等はさておき、まずは知名度アップのため、双方のマーネジメントがタッグを組んで、手っ取り早く効果的な宣伝を企図した結果――以下略、というわけである。これも一種のステマだ。
一緒にマンションから出て来る必要はない。
いま、まさに外出せんとしている俺を撮るだけで、ヤツら(写真週刊誌)は勝手に話を練り上げる。
俺も新人女優もおたがいその気はないから、蠅どもはちと煩わしいものの、含み笑いでもしながらひたすら傍観していればいい。
首尾よくいけば、新人女優がたちまち売れっ子に→俺の本の売上げもぐんぐんアップ→もちろん映画も大ヒット……効果は絶大だ。
プライバシーの侵害? そんなものは有名税だ。いかようにもできてしまう。
チリン。
“有名税”なんて言葉が、俺の口から出てくるようになるとは。
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