第1章

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驚いた事に俺達は全員、黒だと思った。 当時、あの状況から5歳児が捜査対象になるとは誰もが思わなかった。現に一課で捜査に参加してた頃は保護する対象であって疑う事などなかった。俺と立花は直ぐに別の事件の担当になり、それ以降の詳細はわからないが、少なくとも捜査対象にはなってなかったはずだ。 今回の切っ掛けは、鬼課長が婦警からの報告を受けて鬼の第六感が、いや、刑事の勘が働いたと言ったが、いやいや、あれはもっと本能的なものだ、鋭い針山の先端が感知したんだ。勘なんてものではない。この鬼課長は普通スルーするような事も見逃さない。 俺達はターゲットがいて、どう対応するかで力を発揮するが、何もない所に見出だすのは難儀な技だ。鬼課長の場合、何もない所でも鋭い針山の先端が感知するから普通じゃないんだ。そして外した事がない。恐るべし…鬼センサー。 当時の状況では5歳の子供に疑いを持つ者など誰もいなかった。子供は排除していた。先入観が犯人を野放しにしてしまった。あの時の担当が鬼課長なら状況は変わっていただろうと思った。 俺達はこれから捜査を開始する。事件の真相を知ることになるんだ。 黒だと証明出来てしまったら…想像しただけで恐ろしい…。
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