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第3章 本物の侍
【魂を持つ誠の侍】
「そういや、名前聞いてなかったな。なんてんだ?お前さん。」
賑やかな町を歩きながら町娘に問う佐之助。娘の名は小町。江戸の町のとある団子屋の子だ。小町は佐之助にそう伝えた。それを聞くと佐之助は「お前さんの家では団子を食えるのかい。酒は飲めねぇのか?いい女は?団子じゃあ酒は飲めねぇか!ダッハッハッハ」
小町は叱るように「あなたは本当に侍なんでやんすか!食べ物と女の話ばかりでやんす。だいたいお前さんお前さんってあなたいくつでやんすか!」
「んあ?俺かい?俺ぁ20と2つだ。そんなことより団子と女だ。」
「20と2つ!?わっちより年の功が下でやんす!わっちは20と5つでやんす!敬うべきでやんすよ!」
「年の功なんざ知った事じゃねぇよ。お前さんがたまたま俺よりさきに産まれただけの事じゃねぇかい。」 小町に空前絶後の屁理屈を言ってのける佐之助 。そんな些細な言い合いをしている間に団子屋に着いた小町と佐之助。暖簾をくぐろうとしたその瞬間か細い声で小町を呼ぶ声を耳にする二人「小町。小町なのか?」 暖簾の向こうから聞こえる小さい声、それに対して「女か?この奥に女がいるのか?」 とまたもや侍らしからぬ期待をする佐之助。真剣な顔をしながら誰の声かを把握する小町。慣れたように小町を呼ぶ声。その声を何度かきいた小町は自分の祖父の声だと気付く。
「おじいちゃん?おじいちゃんでしょ」
ぬうっと暖簾から出てきたのはやはり小町の祖父だった。肩から崩れ落ちる佐之助。
「あんだい、女じゃあねぇじゃあねぇか。じじいを肴に団子を食うのか俺ァ」
平気で言ってのける佐之助。小町の祖父は
佐之助の態度に唖然とするも何も言い返さなかった。それを見た小町はこの失礼極まりない男との経緯を急いで祖父に説明した。「そうですか。娘を助けていただいたのですか。本当にありがとうございました。私、小町の祖父の冠十郎と申しまする。」
お礼ととも
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